top of page

秋冬生地入荷しております!(ハリスツイード)

 暦の上では秋となっております。今年のお盆は台風で、徳島市の阿波踊りが2日間休みとなり観光客の皆様には大変残念な結果となりましたが事故が起きなかった事が何よりだと思います。さて当店ボストン屋も今シーズンの秋冬に向けて沢山の生地を入荷しております。是非とも一度、ご来店いただきラインナップをご覧くださいませ。写真は、ホーランドシェリー社のコレクション生地ハリスツイード(スコットランド)です。


 近年の日本のハリスツィードブームで紛い物のハリスツィードが市場に出回っております。是非とも当店にて本物の生地をご覧くださいませ。正規代理店の本物をお確かめください。日本の冬の気候、低温小湿に最も適した生地です。



(正規代理店ホームページより抜粋)

英国定番の伝統的なジャケット素材と言えば我々生地屋のみならず多くの消費者の方もハリスツィードとの見解でしょう。そもそもハリスツィードは気候的にも日本の乾燥した冬にとても敵した素材ですので、かなり古くから日本マーケットで既製服を中心に常に扱われてきた素材です。19世紀中頃からスコットランド北西部のハリス島に於いて人力織機によって手作業で織られていたツィード素材ですが、自然に溶け込む独特の色合いと保温性も高く雨にも強い素材ですのでアウトドアの様々な場面での需要が高まり、近隣のルーイス島やアウターヘブリディーズ諸島の島々でも織られる様になりました。産業革命の後は人力織機のみならず蒸気を用いた機械織機でも織られる様になった為、生地巾も人力織機の頃の75cmから機会織機の基準の150cmでも織られる様になり大量生産が可能になりました。この拡がりを受け製品基準を維持する意味合いでハリスツィード協会なる組合が出来たのですが、今日このシステムが要らぬトラブルを生んでしまっています。

協会が行った製品基準を維持する為の方法は、協会加盟の織元にシリアルナンバー入りの統一した織りネームと袖に付ける為の小さめなシリアルナンバー無しの織りネームを配布すること、織り上がった生地に統一したロゴマークのスタンピングをさせることの二つでした。このマークのスタンプとオリジナルの織りネームがハリスツィードである証という単純な方法です。しかしこれが近年、逆に抜け穴となってしまいました。シリアルナンバー入りの織りネームは工場が織り上げ後に生産メーター数を精査されて必要数を厳正に配布されるわけではなく、予定生産数に応じて不足しない様に常時多く配布されます。つまり反物を買った問屋さんや商社は最終的に作る製品数に準じて不足しない様に多目にシリアルナンバー入りの織りネームを工場側から簡単に手に入れることが出来るのです。現に我々もハリスツィードのメーカーのエージェントをしていた頃、輸入先のお客様が求める数量の織りネームを幾らでも手に入れることが可能でしたし、不足せぬ様に常時織りネームの在庫を持っていました。シリアルナンバーを入れても意味がない程、関係各所に織りネームの予備が豊富にあるのです。スタンプマークも織り上った長い反物の端に付けられるだけですので、問屋さんや商社はそれを確認出来ますが、最終製品に付けるものではないので消費者には無縁です。

近年の日本のハリスツィードブームでこのことを逆手に取った紛い物のハリスツィードが少なからず市場に出回ってしまいました。そもそも特徴のある素材とはいえ、ミックスヤーンを使った厚手のツィードは何処でも簡単に織ることが可能です。シリアルナンバー入りの織りネームも前述した通りあちこちに在庫がある上、小物等には袖に付けるシリアルナンバー無しの小さめな織りネームがあれば十分です。そこで協会の認めたハリスツィード以外のツィード製品が付加価値を付けて売り易くする為にハリスツィードと偽り出回ってしまいました。特に小物に関してはまだかなり多く出回っていると聞いています。

この問題に協会は対応しようと打開策を探っていますが、解決する頃にはハリスツィードブームは既に終わっているかもしれません。辛辣な私的見解ですが、その物の本質の良さを求めるのではなく消費者が安易にブームにあやかってミーハー的に求めてしまうことも、こういった詐欺まがいのフェイク物を市場に出回らせる一因かと思います。

Kommentit


bottom of page